11月米雇用統計 - 予想よりかなり悪いのになぜ値が動かない?

たまにはまじめなFXの話でも。
米雇用統計はご存知のように、米経済、ひいては世界経済の先行きを占う重要な経済指標となっていますが、昨日(日本時間12/5 22:30)発表された雇用統計は、今日の新聞各紙が1面で報じたように数十年ぶりに悪い数字になりました。また、10月の発表も下方修正されています。

12月5日(ブルームバーグ):米労働省が5日に発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比 53万3000人減と、1974年12月以来で最大の落ち込みを記録、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値(33万5000人減)も大幅に上回った。10月の雇用者数改定値は32万人減と、速報値の24万人減から下方修正された。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003007&sid=agilLNW3OVOk

にもかかわらず、雇用統計発表直後の値動きは一瞬ドル円円高に動きましたが、すぐに値を戻してしまいました。チャートもこのように、普通の値動きのように見えるほどです。

発表だけ見たら、もっと大幅に動いてもいいような気がしますが、なぜでしょうか?

どうも、この発表前に実際に為替相場を動かしているディーラーなどは、この53万人減という事前予想よりもかなり悪い実際の数字をある程度わかっていて、すでに市場に織り込み済みだったようなのです。なぜならば、実はこの指標の前に、失業保険の申請数など別の情報で、ある程度事前予想と乖離する、ということが事前に予測可能だったようです。
事実、数日前まで95円台近辺だったものが、雇用統計までに92円まで円高になっています。(他の要因もあるのでしょうが。)

なので、逆に予想通りの発表であれば、市場に織り込まれている状況よりもよい、ということで円安に動いたのではないかと思います(予想の予想、ですね・・)。数時間後に円安に動いているということは、思ったよりも悪くはなかった、という人が多かったということでしょうか。

こういうことがわかると、ますます一般の投資家では情報が揃っている機関投資家やプロのディーラーには勝てないなぁと思ってしまいますね。普通にニュースを見ていたら、「予想よりもかなり悪いから、円高だ!」としか思えないですからね。